文豪たこのくっついて~スミはいて~

おもしろさ第一、役に立つこと第ニ

Tacomi式世界⑨「薬草の湯事件」

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小学生の頃は、夏休みとか冬休みがあるたびに、よく家族であちこちの温泉へ旅行していた。

 

ひどかったぼくのアトピーを、少しでも治すためだ。

(これに関連して、「アトピーが酷かったからプチ断食で治してみた」は、こちらから

 

あれは群馬だったか栃木だったか、もうどこかは忘れたが、小学校4年生くらいの頃に「薬草の湯」という温泉に立ち寄ったことがある。

 

いかにもHPがちょっと回復しそうな名前の温泉だ。

 

駐車場には車が多く止まっており、人気らしい。

 

服を脱いで父とともに浴場へ入ってみると、おじさんたちのなまりのある会話と笑い声が反響していた。

 

こ、これが薬草の湯か…。

 

透明…じゃない。黄色だ。お湯が黄色い。お湯に浸かっているおじさんたちの足が見えないくらい黄色い。

 

薬草成分たっぷりってことか。

 

ドラクエの影響をモロに受けていた、単純なぼくの頭の中では、薬草+温泉=HP回復(きっと気持ちいい)という公式が出来上がっていた。

 

そして、特にためらいもなく、いざ入湯。

 

 

 

 

ぎっ…


ぎゃふあああああ!!

 

なんだこれー!! 超絶しみるんですけどー!!

 

「あ〜良い湯だな〜」っていうしみるじゃなくて、悪い意味で!!

 

熱いわけじゃないし、むしろぬるいんだけど身体が燃えそう!! バカじゃないの! 責任者出て来いよハゲが!

 

父の方をチラッと見ると、意外と大丈夫みたいで、タオルを頭に載せて悠々とあごまで浸かっている。他のおじさんたちも。

 

くっ…! なぜだ。おじさんになると全員ドМになるのか。

 

ぼくはアトピーをもっていたので、まず当然患部がしみる。痛ぇ。でも、それどころじゃない。

 

一番しみているのは、ち○ち○だ。叫んでいる。

 

まるで、尿道へ裁縫で使うあの細~い針を連結させて、次々に入れられていくような感覚。

 

「だぁーーー! もう無理だー!」

 

ぼくはたまらず湯を出て、縁に座ってち○ち○にふーふー息を吹きかけて冷まし始めた。父は不思議そうにぼくを見上げる。

 

「どうしたの?」

 

「しみんの! ち○ち○が!」

 

ついつい大声になってしまった。声が反響して、湯に浸かっていたおじさんたちが気づいて豪快に笑い出した。

 

「これが気持ちいいんだべ!」

いや全く

 

「頭っから水ぶっかけたろうかぁ?」

かけんな

 

「ち○ち○にキャップして入ればよかったのになぁ!」

無茶言うな

 

「なんかおめぇサルみてぇだな!」

今それ関係ないけど否定しない

 

「ねーお父さん! そもそも薬草の湯ってめちゃくちゃ気持ちよくなるやつじゃなかったの? 話が違うよ!」

 

「大人は我慢が必要なんだよ」

 

おれ子ども!

 

ぼくはち○ち○をふーふーしても、なかなか痛みが取れなかったので、頭に載せていたタオルで軽くち○ち○を、べしべし叩き出した。

 

良くならない。むしろ痛ぇ。

 

今度はサウナに入った。ち○ち○に痛みより暑さを記憶させようと思った。

 

良くならない。むしろ痛ぇし暑いしアトピー痒い。

 

今度は浴場を出て、首を振っている扇風機に合わせて、ち○ち○を右往左往させてみる。

 

良くならない。むしろおじさんに占領すんなって言われる。

 

いっそのこと、マイち○ち○をハサミでちょん切ってやろうかと思ったぐらいである。だが、ぼくはあきらめなかった。

 

父に車のキー借りると言って、浴場を出て服を着て、急いで車に戻ってかばんの中から冷えピタシートを出した。これぞ、最終手段。

 

そう、ち○ち○に冷えピタシートを包み込むように巻いてみたである。

 

「はぁ~~~♡」

 

これがね、大当たり。超絶気持ちいい。昇天するぅ~。

 

 

 

おっと、うっかりウトウトしたようだ。

 

よし、痛みはもうない。

 

あれ

 

老若男女がこっち見てる。

 

 

暑 く て 車 の ス ラ イ ド ド ア 開 け た ま ま や 

 

要するに、ぼくはドアを開けたままシートにもたれ掛かり、冷えピタで包み込んだち○ち○をさらけ出すような格好でウトウトしていたのである。

 

慌ててズボンを上げた。

 

「セ、セーフでしょ! ほら、包んでますし!」

 

おまえは誰に向かって言ってるんだ。

 

ち○ち○はもう痛くないけど、視線が痛かった。