文豪たこのくっついて~スミはいて~

おもしろさ第一、役に立つこと第ニ

【やってみた】就職したくなかったので大学に残り続けてみた

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医学部でも薬学部でもないのに、大学は6年通った文豪たこです🐙

 

「人生に悩んでいる…」

「なかなか進路が決まらずに悩んでいる…」

「子どもが将来を悲観して思いつめている…」

 

そんな学生さんや親御さんへ向けて(もちろんそうでない人も!)、僕の体験談をお話します

 

読み終わった後に、少しでも気が楽になって前を向ければ、それ以上の喜びはありません

 

 

 

 

留年でもなく、進学でもなく

 


僕は大学4年生の頃、教授や就活のセミナーの講師から「一個でいいから、何がやりたいのかを探せ」という呪文を散々浴びせられた挙げ句

 

「塾講師のバイトが楽しいから、教師になりたい」とウソをついた

 

周りの友達は就職していたのに、自分だけ教職の科目だけを取りに行くという名目で

 

「科目等履修生」なんていう、他人が聞いてもよく分からない身分になった

 

なんとなく就職活動もして、内定も出ていたけど、「やりたいこと」ではなかったので、全部蹴った

 

ちょうどリーマンショックのあおりを受けた直後だったから、「就職難でかわいそう」と言われた時代だった

 

そんな中、「内定を蹴るなんてバカだ」と言われた

 

ましてや、大学に残るという選択をするなんて

 

それも、もう学生ではない形で

 

定期券だって、学生料金ではない

 

ただ大学に行って授業を受けるだけの、一般人

 

また2年間、大学へ行く

 

もちろん、不安はあった

 

いや、不安しかなかった

 

不安の正体は、よく分からない身分への不安ではなく、自分の意志の甘さへの不安だった

 

結局、「教師を目指す」なんて、今やっているバイトの「教える」という延長に過ぎない

 

バイトは確かに楽しかったけど、それはバイトとしてだった

 

社員は成績を上げることに命を燃やし、燃え尽きて毎日死んだ顔を奥でしていた

 

見るのも嫌だった

 

これが学校の教師となると、種類も規模がそもそも違う

 

「過労死」「モンスターペアレント」「月残業100時間」…テレビでそういうワードを見かけるたびに、やりがいはあるんだろうけど、あちこちから鎖で縛られたような教師という職業だけは絶対になりたくないと思っていた

 

教職を取りに行くのは建前

 

本音は、「やりたいことを探す時間」が欲しかったから

 

 

「死んじゃおうか・・・」

 

自分が何に心を動かされるのか、知りたかった

 

でも、大学の4年間では見つからなかった

 

見つけ方を知らなかったのかもしれない

 

この先の2年間でも見つからなければ、わざと単位を落として、更に探す時間を確保してやろうと思っていた

 

ある意味、当時はフリーターやらニートという身分が嫌で、曲がりなりにも名前の付く身分へ逃げたかったんだと思う

 

科目等履修生になることを決断する前は、人生から逃げたかった

 

「死んじゃおうか…」と思い

 

台所から包丁を取り出して

 

「よかった、これで明日を考えずに済む…」

 

と、首筋に包丁を当てたこともあった

 

その時は、親があわてて止めてくれたからよかったけど、誰もいなかったら僕はきっと頸動脈を切っていたと思う

 

それくらい、僕は意志薄弱で本当に弱かった…

 

 

科目等履修生としては、週に3日程度大学に行けばよかった

 

バイトをしていたとは言え、とある事情でお金は無かったから、何を経験するにも質が高く、かつ安く済ませたかった

 

本当なら、いろいろなセミナーに行って、いろいろな人の話を聞いて参考にしたかった

 

そこで、徹底的に読書をすることにした

 

近くのブックオフに通い詰め、徹底的に本を読みまくった

 

僕は、自分の人生が死なないために、死ぬほど本を読んだ

 

特に、ノンフィクションを読んだ

 

いわゆる、良い大学に行って良い会社に入るような「正規ルート」から外れた人たちの人生経験が載っている本を徹底的に読んで、自分の血肉にした

 

 

古本屋で出会った一冊の本

 

中でも、立花隆の『青春漂流』は、文字通りボロボロになるまで読んだ

 

◆『青春漂流』からの抜粋◆ 一度は挫折し、方向転換した若者たち。その大胆な選択が成功だったかどうかを、語ることはまだ出来ない。何しろ彼らは、迷いや惑いの青春の真っただ中にいるのだから。自らも不安や悩みの放浪の旅から、自己確立をしたという著者は、職業も種々な11人の若者たちと、夜を徹して語り合う。鮮烈な人間ドキュメント。

 

 機会があれば、下の方にリンクを貼っておくので、ぜひ手に取ってほしい

 

他にも読んだ本は大量にあり、中でも心打たれた本のリンクは下の方に貼っておくが、また今度改めて紹介したいと思っている

 

この『青春漂流』の中には、輝かしい成功体験が載っているわけではないし、自分の悩みが解決する答えが書かれているわけでもない

 

手作りナイフ職人、精肉職人、鷹匠、染織家など、さまざまな職業の人物たちの経歴と葛藤が綴られていた

 

インタビュー当時、彼らはまだ若く、いわば発展途上段階だった

 

成功かどうかはまだ知れず、漂流する日々

 

僕は漂流経験が多いほど、人生は豊かになることを思い知らされた

 

置かれた境遇は違えど、同志が傍にいる気がして、心強くなったのを覚えている

 

波風が荒れ狂う中での漂流は溺れそうになるほど辛く、苦しいが、あきらめなければ必ず道は拓けることを学んだ

 

 

「こんな世界があったのか!」

 僕の場合は、教職科目だった「教育実習」の一環で訪れた障害者の通所施設に楽しさを感じ、社会福祉の方向に思い切って舵を切った

 

語弊を恐れずに言えば、当時、施設に行くまでは「障害者なんて頭のおかしい奴ら」としか見れていなかった

 

でも、考えが変わった

 

彼らは、実に器用に作業できるし、実に僕なんかのことをいろいろ覚えてくれているし、実にみんな優しかった

 

「こんな世界があったのか!」と感動した

 

外側の世界しか見ていなかった自分が、恥ずかくてたまらなかった

 

たまたま、僕は福祉の仕事を体験してみて楽しいなと思えたし、「これで」ではなく、「これが」いいと思い、とある社会福祉法人に就職した

 

以来、10年間福祉の仕事を続けているが、10年やっているのはたまたまだ

 

そう言うのは、人生はどこになにが転がっているか分からないからだ

 

 

 

人生をおもしろくするために

 

 

明日は、違うことをやりたくなるキッカケに遭遇するかもしれない

 

身近な例で言えば、とあるブロガーの記事を読む機会があって、「おもしろそうだな」と思い、2020年5月11日から「はてなブログ」をやり始めている

 

元々読むことや書くことが好きで、科目等履修生の時に取った国語の教員免許も一応持っているくらい

 

だからか、本当に文章を書いている時間が楽しく、本当にあっという間に時間が過ぎていく

 

最近では、ブログで独立しようかと考えているくらい

 

「そんなことでやっていけるのか?」

 

と、周囲には言われている

 

そうそう、僕が就職した後も、「もっといい職業はなかったのか?」とか「成績はオールAだったのに、なんでそんな稼げないところに?」とか、散々なことを言われた

 

でも、どうでもよかった

 

おもしろかったから、納得して拓いた道だ

 

道をつくるのは、もちろん自分自身

 

他人に人生を決めてもらう法律なんてない

 

ましてや、道をつくってもらうなんて

 

つまらない

 

むしろ、「正規ルート」からはみ出した方が、人生はおもしろい

 

逆境に立たされた人間というのは、生にも死にも、非常にエネルギッシュだからだ

 

僕は別に「はみ出し者」や「落ちこぼれ」を勧めているわけではない

 

でも、僕が「よく分からない身分」になって見えたものがあったように、どんな選択をしても、きっと君にも見えてくるものは必ずある

 

「やりたいことが分からない」という人には、まずは分母の数を増やそうと言っている

 

分母の数=経験を積んだ数

 

分母の数が増えないと、分子の数=やりたいことの数も増えてこない

 

分母を増やせるように、どんどん何事にも首を突っ込めば、「数打ちゃ当たる」ではないけど、そのうち「これだ!」に当たる

 

これを僕はよく「くじ引き理論」と呼んでいて、引き続ければいつか当たるというもの

 

時間はかかったけど、僕は遠回りして皆が見られないような景色を見ることができたし、よかったと思っている

 

何が正解で何が正解ではないのかなんて、誰にも分らない

 

途中で間違ったとしても、やり直しはいくらでも利く

 

「○○歳までにやらないともうダメ」「○○歳が一つのボーダーライン」

 

そんなわけあるか

 

「体力が落ちる」とか言うなら、体力が落ちない方法を見つけてやりたいことをやればいい

 

やりたいことを、言い訳で狭くしてはもったいない

 

やり直しの年齢制限なんて、自分で設けない方がいい

 

「やりたいことのくじ」が出るまで、引き続けよう

 

 

最後に

 

最後に、ことあるごとに思い出す、僕の座右の銘を君に贈ろうと思う

 

昔、高村光太郎という詩人がいた

 

『道程』という詩の、冒頭だ

 

「僕の前に道はない 僕の後ろに道はできる」

 

 

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